自己の限界に挑戦!第49回大湊高等学校耐久遠足
取材地:青森県立大湊高等学校
取材日:2015年6月19日
取材者:総務課 髙村玲:事業課 高谷健太
大湊高等学校にものすごい行事があると聞きつけ、普段から走っている厚生会健脚男子2名が取材で訪問した。何でも体育会系のハードな行事だとのことで・・・。
第49回大湊高校耐久遠足の実施要項をいただくと、男子24.7km、女子22.8kmを丸一日かけて歩く行事だ、とのこと。しかも、平坦な道路ではなく、学校から出発して自衛隊道路を登り、下北半島最高峰の釜臥山展望台(標高785m)を経由して、さらにかまふせパノラマラインをずっと歩いて、ゴールはむつ総合運動公園という強行軍だ。この行程でも例年に比べると距離は短縮されているのだという。
行程図を見ながら、これはまたと無い行事だと、期待しながら訪問の日を迎えた。
午前8時過ぎ、校庭に集合し、出発式。生徒会長が、「みんなで完走、完歩できるよう頑張りましょう!」と気合の挨拶。そして入念に準備運動。いよいよスタートが近づいてきた。
午前9時、女子スタート。スタートライン最前列に陣取るのは女子陸上部で、気合の入ったクラウチングポーズ。やる気満点だ。校長先生の号砲で一斉にスタートを切った。
遅れること5分、男子のスタート。陸上部、野球部等、校門前の下り坂を勢いよくダッシし、そのままのスピードで坂道を駆け上がってゆく。ものすごいスピードに、これは短距離走かと疑う記者2名。ベストショットを逃すまいと連写でシャッターを切った。
その後記者らは、釜臥山展望台へ7kmの道のりを車で先回りした。
この日、釜臥山展望台は分厚い雲に包まれ、辺り一面は濃霧で真っ白だった。そして気温が予想以上に低く、上着を着込んで生徒らの到着を待った。展望台のエイド(給水所)で待つ先生方、保護者、補助の生徒も大変な一日になりそうだ。
濃霧の中から、トップ集団がやってきた。力強い走りで「胸突き八丁」と呼ばれる展望台下の激坂を上ってくる。陸上部の生徒だろう。エイドで水を飲んで、そのまま18キロ先のゴール目指して猛スピードで下っていく。陸上の強豪、大湊高校の実力と若さを垣間見せてくれた。
遅れること数分、他の生徒たちがどんどんやってくる。野球部、運動部はトップとそれほど差のないタイムだ。坂の途中で写真を撮っている記者の横を笑顔で駆け上がり、すぐに笑顔で下りて行く。頑張って!の掛け声に元気にピースサインの生徒たち。
記者はさらに先回りし、パノラマラインの中間点、むつ湾展望台へ。速い生徒は先に行ってしまったが、雄大な風景を楽しみながら、仲間と声を掛け合いながら着実に歩みを進める生徒たち。校長先生も一歩一歩、生徒を励ましながら一緒に歩いていた。
続いて、霊水として有名な恐山冷水にて。頭から水をかぶって体を冷やす生徒も。
不老不死の霊水で、元気百倍!
ゴールは近い。運動公園を目前に、生徒の顔には疲労よりも達成感と充実感がにじんでいた。記者2名も、長い道のりを生徒と行動を共にし、最後まで声援を送った。
この日、男子トップの生徒は驚愕の2時間14分、そして女子トップは男子上位陣と何ら差のない2時間42分でゴールに到着した。そして他の生徒も5時間、6時間かけて完走、完歩を果たした。皆さん、一日本当にお疲れ様でした!
それぞれの努力の証・完歩証を胸にした生徒たち。達成感に、この日一番の笑顔があふれていた。
その昔、昭和42年に行われた第1回耐久遠足は、なんと夜中の23時にスタートし、大湊から川内までの往復、男子50キロ、女子35キロの行程で行われたのだという。それ以降は40キロ、30キロと距離は短縮されたのだが、自己の限界に挑戦するこの遠足は卒業生にとっても強烈な思い出になっていることだろう。下北の大自然を生かし、忍耐力を鍛える、この伝統行事がいつまでも続いていくことを期待しております。