大きな夢を乗せて バルーンロケットの打ち上げ
取材地:中泊町立武田小学校
取材日:2017年5月28日
取材者:総務課 髙村 玲
今年度、創立140周年を迎える歴史ある武田小学校では、毎年の大運動会の恒例アトラクションとして、最高学年の6年生がお手製バルーンロケットの打ち上げを行っているのだという。もともと、15年前に、当時の6年生の卒業記念事業として、子どもたちの成長を願い3月に打ち上げられたのが最初なのだが、それ以降も伝統行事として子どもたちの夢の実現と、健やかな成長を願って続けられているのだという。
果たしてどんな行事なのか、興味津々で5月末の大運動会を訪問した。当日は晴天で、ロケットの打ち上げには絶好の日和となった。
開会式が始まり、全校児童93人が元気よく入場してきた。
続いて校長先生からの挨拶があり、みな真剣な表情で聞き入っていた。「『絆でつなげ、歴史のゴール』のテーマのもと、これからの未来をつないでいく皆さん一人ひとりが、与えられた役割をしっかり果たし、参加種目に全力で取り組んでほしい」との激励があった。
さて、運動会の歌や応援合戦が進行する間に、ふと校庭の隅を見ると、何やら打ち上げの準備が着々と進められている様子。
打ち上げの準備を進めてくれていたのは、鈴木定雄さんだ。鈴木さんは、宇宙の不思議や楽しさを地域の子どもたちに伝えようと日本宇宙少年団中里分団という少年団を立ち上げ、15年前から武田小学校でのロケットの作製と打ち上げに尽力されている方だ。
鈴木さんたちが並べているのは、バルーンロケット専用の発射台だ。自転車の空気入れと、燃料となる水の入ったペットボトルとつながっていて、ロケットをセットして空気を充填すると準備完了!レバーを握ると水が噴射し、勢いよく打ちあがる仕組になっている。
いよいよ、本日のメインイベント、バルーンロケットの打ち上げの時間。児童たちは一斉に走りだし、自分たちのロケットを取りに行った。
児童たちが抱えているロケットを見ると、長さ2メートル近いその大きさにびっくりした。よくよく見れば、このロケットは大型のペットボトルとプラスチック製のおもちゃの野球バットを組み合わせていて、その先端には、児童たちの夢を大きく書いた紙が貼られていた。
小学校生活、最後の運動会。
大空に向かって高く飛んでいくロケットに託した、6年生19人の大きな夢を少しご紹介したい。
・楽しく明るい保育園を作る保育士になりたい。
・強い柔道家になって、柔道の指導をしたい。
・世界中の人たちを笑顔にできる美容師になりたい。
・世界的に有名なパイロットになって安全に運転したい。
・病院が少ない中泊町で、地域住民を助ける内科医になりたい。
それぞれのロケットに書かれた児童たちの大きな夢を見て回るにつれ、人を育てたり、人を助ける仕事を目指す児童たちの心の優しさや熱意が伝わってきた。
今回の打ち上げは、普段から児童たちを見守っている保護者と一緒に行うのだという。陰ながら児童たちの夢を応援する保護者や家族たちは、にぎやかに打ち上げの準備を手伝ってくれ、家族でそろって記念撮影。微笑ましい家族写真を、ありがとうございます。
空気充填、打ち上げ準備完了!天を目指して、一列に並ぶ色とりどりのロケットたち。レバーを握る時を待ちかまえる児童たち。
3、2、1、発射! ひとつ、またひとつ、大空に向けて飛び上がるロケット。
「夢を乗せて、どこまでも飛んで行け!僕の、私のバルーンロケット!」
この日は、上空の風が強く、たくさんのロケットが校庭の端から端まで放物線を描くように、大空を滑空していた。観客やカメラマンの遥か頭上を飛んでいくロケットたちに、大きな歓声が沸きあがっていた。
創立140周年の想いをつなぐ武田っ子たち。奥津軽の風に育てられた児童たちのこれからの活躍を応援しています。